カテゴリ:2019年11月



2019/11/29
そもそも、有給休暇は「勤務を要する日」に有給で休めることを保障する休暇制度である。 有給休暇の趣旨は、労働者の心身のリフレッシュを図ることにある。 シフト制の場合、シフト決定後に「勤務を要する日」と指定された日に有給休暇の請求をすることは当然許される。 この会社の場合は、シフト調整時に所定労働日の一部を有給休暇として申請することも認めていなかったようである。 有給休暇をとることを前提に必要な人員を確保することは使用者の責任です。 労基法の有給休暇に関する定めは強行法規であるので、有給請求権を事前に放棄する契約は無効です。 また、労働者の請求(時季指定)による有給休暇の取得が進まないことから、労働基準法が改正されて、2019年4月からは、年10日以上有休が付与される労働者に対しては企業は5日間の有休を指定して休ませることが義務づけられた(39条7項)。 有給休暇の取得は労働者の権利であるだけでなく、使用者の義務でもあるのです。
2019/11/24
労働者は、たとえ解雇を争っていても、退職した場合と同様、①国民健康保険に加入するか、②健康保険の任意継続被保険者となるか、③家族の健康保険(被扶養者)に加入するか、のいずれかの手続きをとる必要があります。 国民健康保険の加入手続きをすることと解雇を認めることとは、何ら関係がありません。
2019/11/16
1年更新の契約社員として働いている友人から、来年度は少額ではあるが賞与が出そうなので嬉しいとの話しを聴いた。 ところが、最近、期間1年の有期契約で働いている契約社員から愚痴のような相談があった。 使用者より新年度からの新しい契約条件が示された。 賞与は払うことにする。しかし、同時に月例給与を調整する。 結論としてプラス・マイナス・ほぼゼロとなり、年収ベースではほとんど変化なしである。 くだんの使用者は、働き方改革関連法の施行により契約社員の賞与ゼロはまずいということになり、賞与を出すことにした。 しかし、総人件費の増加を押さえるため、月例の賃金を減額することで調整をするということなのだろう。 ふざけた話しである。
2019/11/09
労働基準法26条は、「使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定める。 確かに6割の休業手当てを支払えば、刑罰の制裁のある労基法違反の責任は免れることはできる。 しかし、労基法上の責任と民事上の責任とは別の話しである。 使用者の責めに帰すべき事由によって労働者が労務を提供することができなくなったとき、労働者は当該労務提供の反対給付である賃金請求権を失うわけではない(民法536条2項)。 すなわち、労働者は、このような自宅待機期間中、6割ではなく10割の賃金を請求することができる。
2019/11/03
団体交渉の場において弁護士や社労士が依頼主である使用者の立場に添った主張を展開するのは当然である。 しかし、労働トラブルを話し合いで解決するためには、それぞれの主張の違いを認識したうえで、そこから一歩進めて、事案にそった妥当な解決策を模索する姿勢が不可欠である。 場合によると、依頼者を説得しなければならない場面もでてくる。 話し合いでの解決のためにはそのような調整能力が求められる。 このことは組合側にとってもいえることだ。