カテゴリ:解雇



2023/04/11
「突然解雇を言い渡された。 納得できないと行動を起こしたら、今度は、説明なしで一方的に解雇撤回の通知があった。どうすれば良いか?」という相談があった。 解雇の言い渡しの撤回は、契約の解除の意思表示にあたるところ、民法(520条2項)は、解除の意思表示は、撤回することができないと定める。 したがって、解雇の言い渡しの撤回は、使用者による一方的な行使は許されず、労働者の承諾が求められる。
2021/05/13
容貌はその人を特定できる要素であることから重要な個人の情報です。 自己の情報をコントロールする権利(プラバシー権)として、SNSへのアップは拒否することはできます。 使用者といえども、従業員の容姿等を勝手にSNSにアップすることは、プライバシー権としての肖像権(みだりに自己の容姿等を撮影され、これを公表されない権利)の侵害にあたります。 無断でSNSへアップされたものの削除を求めることもできます。 当然ながら、SNSへのアップを拒否したしり、アップされた画像の削除を要求したことで、解雇など不利益取り扱いをすることは許されません。 SNSへのアップ拒否が正当な解雇理由となりえないことは論をまたない。
2021/04/02
本件は、従業員兼務取締役の解雇問題だ。 「従業員兼務取締役」とは、肩書上の地位が「取締役」でありながら、同時に一般の従業員としても評価できる人のことをいう。 「取締役」と会社との関係は「委任契約」であり、「労働者」と会社との間の「労働契約」とは異なるが、従業員兼務取締役は、実質的には委任契約と雇用契約が併存した状態といえる。 実質は個人事業のような会社では、取締役とは名ばかりで、主として従業員の業務を行っている場合がある。実態上、会社代表者の指揮命令を受けて労務に従事し、その労務に対して従業員としての報酬Mを受けていると認められれば、労働契約法上の「労働者」に(も)当たることになる(菅野和夫「労働法」(第12版)182頁)。
2021/03/08
業務に起因する傷病の場合は労働基準法などに解雇制限などの労働者保護の規定があるが、業務外の傷病を理由とする休職については、休職期間、復職等についての法の定めはない。 具体的な取り扱いは労働契約や就業規則の定めによることになる。 療養中の解雇は、療養のため労務を提供できないことが解雇の合理的な理由となるかが争われることになる。 裁判においては、回復するまでもう少しの期間を待てないのかが争点となる。 なお、業務に起因する傷病の場合は療養期間中の解雇は禁じられている(労基法19条)。 数ヶ月程度の比較的短期間の療養中の解雇は、長期雇用慣行を重視する裁判所では合理的な理由のある解雇とは認められない可能性が高い。 一般に病気休職の要件として定められている事前の欠勤期間は、裁判所では解雇は認められないと考えられている程度の短期間であることが多い。 判断が難しいのは、予想される療養期間が1年に及ぶなど相当長期間に及ぶ場合である。
2020/12/05
解雇を撤回され出社を会社から求められた、困惑しているとの相談を受けた。 復職したくない、どのように対応したらいいかという相談である。 原則として、解雇の意思表示が労働者に到達した後は、使用者がこれを一方的に撤回することは許されない(民法540条2項)。 ただし、従業員の同意があれば話は別です。 本件の場合、従業員が解雇の撤回を求めていたことから、同意があったと解される。 正当な理由なく出社を拒否すれば、それを理由に改めて解雇を言い渡されるリスクがある。 撤回日以降の賃金を請求することも難しくなる。 したがって、いったん復職をして様子をみる以外ないように思える。 しかし、どうしても復職をしたくないのならば、解雇日から撤回日までの未払い賃金の支払いを受けて退職するのも一つの選択肢だ。
2020/12/01
不当解雇された相談者からの数ある質問のひとつに解決金はいくら取れるかというのがある。 職場復帰ではなく金銭解決を望んでいる場合である。 事案(正社員か契約社員か、勤続期間の長短、解雇の悪質性など)により千差万別だと答えるしかない。 しかし、それでは答えにならないであろう。 実際の解決金額は相手である使用者との交渉の結果であることから幅が大きい。 しかし、ほっとユニオンの要求額には一定の方針がある。 以下において、取り扱い件数が比較的多い勤続期間が短い案件についていままで経験した具体的な事例をもとに要求額を整理をしてみることにする。
2020/10/04
転職先の採用面接において、離職理由を尋ねられたときの対応の相談です。 相談者は退職会社がハローワークに提出する書類を気にしていた。 そもそも、採用面接で離職票の提示を求められることはありません。 また、かりに転職先の会社が退職会社に離職の事情を問い合わせても、従業員の個人情報であることから、退職会社が照会に応ずることは通常は考えられません。 もっとも、採用面接で積極的な嘘をつくことはお薦めしません。 横領など理由とする懲戒解雇などの不名誉な退職事由でなければ、会社都合退職(普通解雇)であることを必要以上に気にすることはありません。
2020/09/26
不当解雇についての相談は多い。 解雇は違法・不当で納得ができない、しかし、いまさら職場に戻るつもりはないという相談者は少なくない。 復職ではなく、損害賠償(慰謝料)を請求したいという相談である。 裁判手続において客観的な証拠が十分でない場合、立証責任をどちらが負うかは、決定的な違いとなる。 事実を証拠に基づいて証明できない場合、立証責任を負う側が敗訴することになる。 当然、このことは裁判外での交渉にも影響を与える。 裁判外の交渉においても、交渉が決裂して裁判手続に移行した場合どうなるかを、使用者も頭に入れて交渉に応じるからだ。 すなわち、復職ではなく金銭解決を求めるにしても、とりあえず解雇無効を主張して復職を求めるほうが、使用者に与えるプレッシャーはより大きいものとなる。 また、交渉により得られる金銭解決の水準も結果として高いものとなる。
2020/08/08
ユニオンを脱退したい、どのようにすればいいのか、との相談を受けた。 ユニオンへの相談としては異例のものである。 労働組合は、一人では弱者である労働者がお互いに助け合う共助の組織だ。 組合の担当者の顔も見ないで、メールと電話のやりとりだけで、交渉を丸投げするのは安易に過ぎる。
2020/02/29
解雇されたら履歴が汚れる。 転職への悪影響が心配だ。 転職の面談の際、前職の離職理由を解雇といいたくない。 使用者は、従業員のこのような不安を逆手にとって、退職に応じないならば、解雇すると脅し、執拗に退職願いへの署名・押印を求める。 しかし、使用者の狙いは、後で解雇の適法・違法が争われるリスクを避けることにある。 そもそも、非行行為などを理由とする懲戒解雇でないかぎり、解雇を言い渡されることは労働者にとって必ずしも恥ずべきことではない。 納得できない解雇ならばなおさらである。

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