カテゴリ:有期労働契約



2022/09/02
3か月の派遣契約を2年ほど更新し続けてIT業務担当として働いていた派遣社員から相談を受けた。 「派遣先の体制変更」を理由として次回の更新をしないという通知を派遣会社から受けた。 同じ職場に派遣されている同僚の派遣社員は2名いるが、雇い止めを言い渡されたのは相談者だけらしいとのことである。...
2022/07/26
正社員募集に応募したら、採用面接において、6か月間の有期契約書への署名押印を求められ、そのあげく、6か月間経過後には正社員登用の約束は反故にされた。 しかし、試用期間としての性質を有する有期契約においても、会社は自由に正社員への登用拒否(本採用拒否)を行えるわけではないことは通常の試用期間と同様である(神戸弘陵学園事件・最三小1990年6月5日判決)。 正社員への登用拒否(本採用拒否)には解雇の場合と同様に客観的・合理的な理由が求められる。
2021/10/17
使用者は、有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて雇用されている労働者にかかる有期労働契約を更新しない場合には、契約の期間が満了する30日前までに、その予告をする義務がある。 他方、労働契約法19条は、労働者が更新を期待することについて合理的な理由がある場合に使用者が当該労働者の更新の申込みを拒否することに対して、解雇制限法理に準ずる高いハードルをもうけている。 更新により長期間働くことを前提として契約したときなど更新を期待することに合理的な理由がある場合、納得できない更新拒否はたとえ雇用期間が短期間であっても争うことができる。 納得のできない更新拒否にあったら、泣き寝入りしないで異議を申し立てよう。
2020/01/25
契約社員として更新を重ね6年間近く勤務を継続してきたが、現在の契約の期間満了日の1か月ほど前に勤務成績不良を理由として次回は更新はしない旨口頭による通知があったとの相談があった。 労働契約法18条は、有期労働契約の契約期間が通算して5年を超える場合、労働者に無期契約への転換の申込権が発生すると定める。 申込の時期については、「現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に」と定めるのみで特に制限を定める規定はない。 したがって、会社から更新拒否を通知された後であっても、契約期間の満了日までは無期転換の申し込みはできる。 0条)と評価され無効となる。
2019/03/23
試用期間として有期契約を利用する例は少なくない。 使用者は通常の試用期間とは違って、有期契約としての試用期間ならば期間満了を理由として解雇(雇い止め)が容易であると考えているのであろう。 しかし、試用期間か否かは、契約の形式ではなく実態で判断するのが裁判所の立場であり、有期雇用が試用期間であると判断される場合は、単に期間満了を理由とする解雇は許されない。 本採用を拒否する合理的な理由が必要である。
2019/03/09
ネット情報などによると、退職するには2週間前にその旨を会社に伝えればよいと聞いているが、そのとおりか。 2週間云々は、民法627条に基づくものであり、期間の定めのない雇用契約である正社員に適用がある規定だ。 残念ながら雇用期間の定めのある契約社員には適用がない。 有期雇用契約に基づく契約社員に適用のある民法628条は、期間途中の解約の申出には「やむを得ない事由」を要求している。 労働条件が初めの約束とは違うとか、長時間労働で体調を壊しそうだとかの事情がこれにあたる。
2018/04/01
雇用期間3か月の労働契約書を交わした労働者が期間の途中に解雇を言い渡され相談に来た。 使用者は、雇用期間3か月はすべて試用期間であり、解雇権濫用法理の適用はないと主張している。 3か月間の雇用期間の全てが試用期間という労働契約はどのような法的な意味をもつのだろうか。 判例(神戸弘陵事件最高裁判決)によれば、雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適正を評価・判断するためのものであるときは、当該期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解される。 この判例法理に従えば、上記契約は3か月間の試用期間付きの正社員契約ということになる。