2020/10/18
今週の火曜日(10月13日)及び木曜日(10月15日)に、相次いで労働契約法20条に基づく非正社員の格差是正にかかる最高裁の5つの判決がでだ。
労働者側にとっては、退職金・ボーナスは敗訴、他方、扶養手当・夏期冬期休暇格差は勝訴と明暗を分けた。
これらの訴訟は、契約社員やアルバイトなど有期契約で働く非正社員と正社員との間で、労働条件の「不合理な格差」を禁じた労働契約法20条の規定(現在はパートタイム・有期雇用契約法に移行されている。)に基づき争われたものである。
最高裁が示したのは当該法規定が禁じた「不合理な格差」の解釈・適用である。職場において格差の是正を実現するためには、非正社員自身が不合理な格差に異議申し立てをし続ける必要がある。
しかし、ひとり一人の労働者は使用者に対して圧倒的弱者である。
使用者に対峙する集団としての労働組合の出番だ。
正社員中心の既存の労働組合が十分に機能していないというのならば、非正社員が自らの組織化を考えるときではないか。
2019/11/16
1年更新の契約社員として働いている友人から、来年度は少額ではあるが賞与が出そうなので嬉しいとの話しを聴いた。
ところが、最近、期間1年の有期契約で働いている契約社員から愚痴のような相談があった。
使用者より新年度からの新しい契約条件が示された。
賞与は払うことにする。しかし、同時に月例給与を調整する。
結論としてプラス・マイナス・ほぼゼロとなり、年収ベースではほとんど変化なしである。
くだんの使用者は、働き方改革関連法の施行により契約社員の賞与ゼロはまずいということになり、賞与を出すことにした。
しかし、総人件費の増加を押さえるため、月例の賃金を減額することで調整をするということなのだろう。
ふざけた話しである。
2018/06/06
正社員と非正社員の待遇格差が、労働契約法が禁じる「不合理な格差」にあたるかが争われた二つの訴訟(ハマキョウレックス訴訟、長澤運輸訴訟)の判決が6月1日、最高裁判所で下された。
最高裁の判断は分かれた。
労働条件の相違が不合理であるか否かの判断は法律の文言によって一義的に決まるものではなく規範的評価を伴うものだ。
したがって、正規・非正規の「不合理な格差」を是正するためには、働く現場で異議を申し立て続けることが不可欠だ。
2017/09/17
労働契約法20条は、正社員と契約(有期雇用)社員との間での不合理な待遇差別を禁じた規定です。
民主党政権下の2012年8月の労働契約法改正(2013年施行)によって新設された。
同時に有期雇用社員の無期転換ルール(5年ルール)を定めた18条も新設された。
ともに非正規労働者の労働条件の改善を目指した労働者保護のための画期的な規定といえる。
しかし、法律ができれば即、非正規労働者の労働条件が改善されるほど現実は甘くない。
法律の規定を職場に適用させるには現場の労働者の絶え間ない監視や不当な取り扱いに対する異議申し立てが不可欠です。