突然の解雇に気が動転してしまい、何の抵抗もできないまま会社を去ることになる方が多くいらっしゃいます。
人によっては、解雇されたのに 「退職願い」を提出させられて「自己都合退職」扱いになってしまっている方も見受けられます。これでは、給与所得を失なった上、失業手当もすぐにはもらえず、生活に困ってしまうことになりかねません。
解雇通告を受けた場合、納得が行く、行かないに関わらず、まずは「解雇理由証明書」を書面でもらうことを念頭に置きましょう。
一旦、会社を離れ、冷静になってから、今後どうすべきか考えることが大切です。
間違っても、その場で「退職願い」を提出させられることのないよう、注意が必要です。
<こんなふうに対応する>
① 「もう会社に来なくていい。」とか「やる気がなければ辞めてしまえ。」とか言われた場合に、「わかりました。」とか「お世話になりました。」とか言ってしまうと、自発的に辞めたことにされてしまう可能性があります。曖昧な発言は避け、「それって、解雇ですか?」とか「納得がいきません。」ときっぱりとした対応をとる!
② 個室に連れて行かれて、強制的に「退職願い」を書かされそうになったら、「明日、提出します。」とか、「具合が悪くなってしまったので、家で書いてきますので・・・。」と言って、その場(会社)から離れるようにする!!
③ 解雇通告を受けた場合、ほとんどの方は気が動転してしまい、冷静な判断がつかない状況になりかねません。まずは、会社に「解雇理由証明書」を書面で交付してもらい、その上で納得が行かない場合には、「労働相談カフェ東京」(03-5834-2300)に電話相談し、アドバイスを受けましょう。(電話相談は無料、受付時間は平日9時~18時です!)
<解雇の法的ルールを知っておきましょう>
◆解雇には、大きく分けて2つの法的ルールがあります。1つ目は解雇の手続的なルールで、2つ目は解雇の理由についてのルールです。以下、もう少しく見てみることにします。
◆1つ目の解雇の手続的規制ですが、解雇をしようとする場合においては、原則として、少なくとも30日前までにその予告をしなければならないというルールがあります(労働基準法第20条)。仮に30日前に解雇予告をしない使用者は、予告に代えて30日分以上の平均賃金(いわゆる解雇予告手当)を支払わなければなりません。すなわち、使用者は労働者を解雇する場合においては、①30日間という期間の猶予を与えるか、②30日の期間の猶予を満たせない場合には、その足りない期間分の平均賃金を支払うという経済的補償を与える必要があるのです。
◆2つ目の解雇の理由の規制ですが、解雇をする場合には、労働者を保護するという観点から、それが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、解雇権を濫用したものとして無効となるというルールがあります(労働契約法第16条)。すなわち、解雇をする場合には、解雇しなければならない程度の相当な理由が必要であり、いくら手続的な要件を満たしていても、合理的理由のない解雇は無効になってしまうのです。たまに、1カ月分の給料(解雇予告手当)を支払えば、会社は従業員を解雇できるといった誤った認識をされている方がおりますが、一歩間違えれば民事訴訟に発展してしまうので、実は注意が必要なのです。
(労働紛争解決アドバイザー 横川)