週3日ないし4日のシフト制で働くアルバイトが有給休暇の申請をしたところ、使用者の代理人弁護士からシフト制のアルバイトには有給休暇は認められない、と以下の内容の通知があったとの相談があった。
「労基法39条3項において、その適用対象とされているのは、「一週間の所定労働日数」が定められている労働者に限ります。本件において、会社と貴殿との間の労働契約において、貴殿の所定労働日数は定められておらず、貴殿が自由に出勤日数を調整できるものです。したがって、所定労働日数の定めがなく、貴殿が自由に決められる契約内容において、そもそも有給休暇を取得する法的権利を有しません。」
確かに、相談者が週5日勤務のフルタイムではないことから、労基法39条2項の定める通常の日数の有給休暇の付与は認められない。しかし、労基法39条3項の比例付与の対象とはなる。
労基法39条3項は、「通常の労働者の一週間の所定労働日数」と「当該労働者(パート、アルバイトなど短時間労働者)の一週間の所定労働日数」との比率を考慮して当該労働者(パート、アルバイトなど短時間労働者)に対しても勤務日数に応じた有給休暇を付与すべきことを定めている。
問題となるのは、シフト制などで週の所定労働日数がまちまちの働き方をしているパート・アルバイト(非定型的パート・アルバイト)の取り扱いである。
これについて、行政通達(平成16年8月27日「都道府県労働局長あて厚生労働省基準局長通知」基発0827001号)は以下のとおり述べている。
「非定型的パートタイムヘルパー等について、年次有給休暇が付与される日数は、原則として基準日において予定されている今後1年間の所定労働日数に応じた日数であるが、予定されている所定労働日数を算出し難い場合には、基準日直前の実績を考慮して算出することとして差し支えないこと。したがって、例えば雇い入れの日から6箇月経過後に付与される年次有給休暇の日数については、過去6箇月の労働日数の実績を2倍したものを「1年間の所定労働日数」とみなして判断することで差し支えないこと。」
この通達は直接的には訪問介護労働者に関して述べられたものであるが、労働日数が非定型的な働き方をしているパート・アルバイトについては、業種に関わらず適用されるものと解される。
したがって、有給休暇の比例付与の日数について、相談者のような非定型的なシフト制のパート・アルバイトの所定労働日数は、基準日における今後1年間の所定労働日数ではなく、基準日前の実績によって算出されることになる。
会社側弁護士のいう、シフト制においては所定労働日数の定めがないから比例配分の有給休暇は法的には発生しないとの主張は、労働者保護法である労基法の趣旨を全く無視したご都合主義の解釈であるといわざるを得ない。(直井)
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