☆シフト制と雇用調整助成金の不正受給☆

シフト制で働く労働者から相談があった。

コロナ禍で会社の仕事が減少し、それに伴って一方的にシフト(毎月の勤務日数)も減らされていたところ、ついに退職を勧奨され辞めることになった。

 

ついては、この間シフトが減らされて収入が減った分について従業員が直接申請できる休業支援金を申請したいので、会社記載用紙への記載を上司に求めたところ断られた。

理由は、会社がその分について雇用調整助成金の申請をしているとのことであった。

 

会社は、既に確定済みのシフトを減じた分については労働基準法の定める休業手当(賃金の6割)を支払っていたが、シフトが未確定な期間(翌々月以降)につてはシフトを減らしても労基法上の支払い義務はないとして休業手当を支払っていなかった。

にもかかわらず、その分について雇調金の申請をしているということは雇調金の不正受給をしていたということになる。

 

上司は、休業支援金に相当する額を支払うから、休業支援金の申請は辞めてほしいと相談者に求めた。

相談者の心配は上司の申し出を受けたら、会社の詐欺行為(雇調金の不正受給)の共犯となり、罪に問われるおそれがあるのではないかということだった。

 

相談者が、会社の行政に対する虚偽の申請にも、それにより給付金の不正受給を受ける行為にも直接加担していないことから、刑事罰の対象となる恐れはない旨を伝えた。

私のアドバイスを受けて相談者がどのように対応するかは不明だ。

 

コロナ禍での休業手当の問題は、シフト制で働く労働者の無保護状態を顕在化させた。(直井)