コロナ休業を指示されたにもかかわらず、休業手当が支払われない中小企業の労働者向けの給付金制度が7月10日から始まった。
名称は「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」だ。
休業前の賃金の80%(上限日額1万1千円)を受け取れる。
労働者による直接申請のほか、企業がまとめて申し込むこともできる。
労働者が申請する場合に必要な書類は以下のとおりだ。
①支給申請書
②支給要件確認書
③添付資料(ⅰ運転免許書など本人確認書類、ⅱキャッシュカード、通帳など金融口座確認書類、ⅲ給与明細、賃金台帳など休業開始前賃金及び休業期間中の給与を証明できる書類)
先のブログ(6月20日)でも指摘したが、労働者が直接申請する給付金制度の運用上の懸念は、使用者が必要な証明に協力しない場合の対応である。
この懸念に対して、「支給要領」は、事業主から「支給要件確認書」への記載の協力が得られなかった申請者は、事業主名記載欄に「事業主の協力を得られない」旨及び(事業主から拒否された、倒産のため事業主と連絡がとれない等)その背景となる事情を記載すればよいとと答えている。
次に、労働者が給与明細を保存していない場合の取扱いも気になる。
過去の給与明細を保存していない労働者は少なくないと思われる。
この場合は、使用者が作成保管している賃金台帳のコピーの提出で可ということだが、これにも事業主の協力が必要である。
なお、給与振込口座の記帳内容のコピーでも可である。
ただし、口座の記帳額は給与の額面額ではなく、税金、社会保険料などを控除した手取額であることから、これを基準とすると額面額を基準とする場合より平均給与額は小さくなるという不利益がある。
労働者が直接申請できる休業給付金とはいうものの、適切な情報収集には使用者の協力が不可欠である。
使用者の協力義務を明確にした上で、使用者の協力を得られなかった場合、行政が使用者へ強力な指導する運用が望まれる。(直井)
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