新型コロナ対応休業支援金(以下「休業支援金」という。)は、6月12日に成立した雇用保険法の臨時特例法によって創設された、休業させられた労働者が直接国に申請できる給付金制度だ。
コロナ禍のなか労働者を休業させた企業が雇用調整助成金をあえて利用せず、労働者に休業手当が支払われないというケースが相次いだ。
とりわけ中小企業で目立った。
申請手続きの煩わしさや手持ち資金が逼迫したことなどのため労働者への休業手当の支払を避けたとみられる。
休業労働者が国に直接請求できる給付金制度を求める声が高まった。
休業支援金の対象は、新型コロナの影響で2019年4月1日から9月30日までの間に休業させられたにもかかわらず、会社から休業手当の支払いを受けられなかった中小企業の労働者だ。
休業日数に応じて休業前の賃金の80%を月額33万円を上限に支給される。
申請には、休業日数や、休業前の賃金額を証明するための資料の提出が必要となる。
これらの資料は通常企業に作成・保存義務が課されている。
労働者が求めてもあえて休業手当を支払わなかった企業は、必要な証明資料の提出協力をも面倒だと応じない可能性がある。
必要な証明資料の提出に企業が協力しない場合、ハローワークなどの行政機関が直接企業を指導することが求められる。
証明資料の提出をすべて申請者である労働者の責任にされたら、自ら必要な資料を収集できる労働者以外にとって、折角の制度も絵に描いた餅になってしまうおそれがある。
日頃から税理士・社会保険労務士などの専門家と接する機会の多い企業経営者と違って、労働者には役所への手続に不慣れな者が多い。
労働者を申請者とする給付金制度においては、労働者の申請手続きを積極的にサポートする制度運用が望まれる。(直井)
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