小さなバーの雇われママから相談があった。
現在、コロナ禍のなかオーナーの指示で4月以来休業中である。
オーナーは事業者向けの「持続化給付金」や「家賃補助」の申請をしている。
しかし、会社が働き手に休業手当を支払う費用を支援する雇用調整助成金を申請するつもりはないという。
オーナーとは形式的には業務委託契約を結んでいる。
報酬は、基本給プラス歩合給だ。
営業日(月曜日から土曜日)や営業時間(19時30分から24時)がオーナーに指示されていることなどから、実質的にはオーナーの指揮命令下で働いている労働者といえる。
ママの相談は自分は休業下でどのような法的な保護を受けられるのかということであった。
事業主は、ママは個人事業主だから労働基準法の定める休業手当の対象とはならないし、休業手当を払うつもりはないという。
休業手当を受け取れない人が直接ハローワークに申請して受け取れる給付金が新設されるとのことだが、その場合、形式にせよ、労働契約ではなく業務委託契約が締結されていることが支障となるおそれがある。
また、実質的には労働契約であると解されることから、フリーランス(個人事業主)として持続化助成金の申請をするのも、ハードルが高そうだ。
形式は業務委託契約、実態は労働者であるいう働き方を強いられている者は少なくない。
今回のコロナ禍は、制度の狭間にあり、労働法の保護から排除された働き手の無保護状態をより顕在化させたといえる。(直井)
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