解雇撤回を求める使用者との団体交渉で次のようなやり取りがあった。
ほっとユニオンが、使用者から労働者に交付された解雇理由証明書に記載の具体的な解雇事由について一つひとつ問い質している中で、次のことが判明した。
使用者は解雇トラブルについて相談のため管轄の労働基準監督署を訪れていた。
対応した基準監督署の相談担当者は、使用者の説明を前提に、解雇理由証明書の書き方をアドバイスした。
使用者は相談担当者のソフトな対応から、解雇の正当性についても基準監督署のお墨付きを得たと感じたようだ。
そのこともあってか、団交の場において使用者は、解雇には正当な理由があるから、交渉で解決のために譲歩するつもりは一切ないと、強い主張に終始した。
それでも争うつもりならば裁判所へ訴えろと、えらく強気であった。
他方、労働者も解雇を言い渡された直後に基準監督署に駆け込み、相談をしていた。
基準監督署の相談担当者は、労働者の話しを前提に、解雇に納得できなく争うつもりがあるのならば、労働基準法22条の規定に基き具体的な解雇事由を記載した解雇理由証明書の交付を使用者に求めることをアドバイスした。
労働者から解雇理由証明書の交付を求められた使用者がその書き方を同じ基準監督署に相談に来たのだ。
解雇理由証明書は、使用者にとっては、基準監督書のアドバイスにものに作成したものである。
対応した担当者はそれぞれ違うようだ。
労使それぞれは、必ずしも客観的とはいえない、それぞれのバイアスのかかった事実を基準監督署の担当者に説明する。
相談担当者は、それぞれから聴いた話しを前提にしてアドバイスをする。
アドバイスに従って行動した労使双方はともに基準監督署は自分の味方であると思い込んでいる。(直井)
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