派遣労働者は、派遣元事業主に雇用されながら、派遣先から指揮命令を受けて労働に従事するという変則的な形態で働かされる、典型的な非正規労働者の一つです。
派遣法(32条)は、派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじめ、当該労働者にその旨を明示しなければならないと、定めている。
派遣で働くのか否かを雇い入れ前に明示することは、労働条件明示の基本のキといえる。
この点が不明確のままで働いていた労働者からの相談があった。
最初の電話相談の段階では、出向ないし異動についてのトラブルの相談ということだった。
直接会って話しを聴くとちょっと違うようだ。
相談者は、「正社員登用あり」のネット求人広告の宣伝文句に魅力を感じて、応募し、「正社員登用ありの契約社員」として採用された。
就労場所は、会社の顧客先企業のコールセンターである。
このコールセンターから別の企業のコールセンターへの就労場所の変更のことを相談者は異動と言っていた。
相談者は、将来、会社において通常の事務職としての正社員への登用があることを期待して働いていた。
採用時に取り交わされた雇用契約書には、コールセンター業務の記載はあるが、派遣のハの字も記載がない。
おそらく、会社のいう正社員登用とは、期間の定めのない常用型派遣労働者への登用ということなのだろう。
しかし、一般的には、正社員という呼称は、非正社員=非正規(派遣労働者を含む)の反対の呼称として使われている。
相談者が誤解したとしても、責められない。
責められるべきは、ネット求人広告のうたい文句と採用時の会社の説明不足である。(直井)
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