会社が社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入してくれないとの労働相談があった。
会社は従業員3名の小規模会社で、相談者は勤続4年で1年間更新の有期雇用者である。
社長に社会保険の加入を頼んだら、「うちは誰も社会保険に加入していない、どうしてもというのなら辞めてもらう以外ない」との話しであった。
年金事務所に相談にいったら、会社が任意に加入に協力してくれなければ、会社を指導して加入手続きを進めることは時間もかかり事実上困難だといわれたという。
しかし、従業員がどんなに少なくても、当該会社は株式会社であることから社会保険の強制適用事業所にあたる。
この年金事務所の相談対応は、不親切かつ不正確だといわざるを得ない。
年金事務所は、加入指導に応じない会社に対しては立ち入り検査を行い(厚生年金保険法100条)、調査に基づく認定により強制加入手続きを実施する権限を有している。
会社が厚生年金保険・健康保険の加入手続きをしない場合は、従業員が直接日本年金機構(年金事務所)に被保険者資格の確認請求をして、会社を加入さすことができる。
通常は、健康保険及び厚生年金保険の被保険者の資格取得及び資格喪失は、適用事業所の事業主の届出により行われ、保険者の確認によってその効力を生じる。
しかし、事業主が届出を怠っている場合は、後日、被保険者が保険給付を受けるときに不利益を被ってしまう場合があるため、被保険者又は被保険者であった者が、自らも保険者へ被保険者資格の確認を請求できるようになっている(厚生年金保険法31条、健康保険法51条)。
確認請求には所定の「厚生年金保険・健康保険被保険者資格確認請求書」のほか、年金事務所による調査を円滑に行うため、雇用契約書、給与明細などの証拠書類を提出する必要がある。
なお、過去に遡っての確認請求は、原則2年間とされている。
役所相手に具体的な対応を求めるためには、相談だけであきらめず、申請など正式な手続きをすることを勧めます。
ひとりで手続きを進めることが不安な場合は、社労士ユニオンであるほっとユニオンにご相談ください。(直井)
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