労働相談を受ける際、まず、労働条件通知書などにより契約の基本的な内容を確認することにしている。
小規模な企業では試用期間中は社会保険に加入しないとの取り扱いをする例が少なくない。
「臨時に使用される者」を社会保険の適用除外とする規定(厚生年金保険法12条)についての使用者の誤解ないし悪用と思われる。
試みに使用される者は、勤務の永続性が前提となっているので、「臨時に使用される者」とは性質が異なる。
もっとも、私が現実に対応する相談者は試用期間中の社会保険の不適用を問題として相談に来るのではなく、試用期間中の使用者による恣意的な解雇を問題として相談に来るものがほとんどである。
なぜ、社会保険の不加入を問題として企業に怒らないのだろうか。
そこには、昨今話題となっている年金の老後資金2,000万円不足問題以前の現状がある。
安定した職場で働けない労働者には老後の年金生活を考えるゆとりさえないのである。
老後の年金生活で2,000万円の蓄えが必要であるとの試算のモデルとなっているのは、40年間厚生年金に加入し安定した雇用機会に恵まれた労働者である。
誰もが安心して働ける安定した雇用機会の保証こそが急務である。(直井)
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