☆事業主の証明を欠いた傷病手当金申請☆

傷病手当金申請書の「事業主証明」欄への記載を拒否する使用者に関する相談は多い。

 

「事業主証明」欄は、傷病手当金申請期間にかかる出退勤の状況やその間の賃金の支払い状況を使用者が記載・証明する欄です。

客観的な事実の記載なので、記載することによって使用者の不利益になることは考えられないが、いやがらせか、理解の不足か、記載を拒否する使用者がいる。

 

健康保険法施行規則33条は、事業主は、従業員から証明を求められたときは、正当な理由がなければ拒むことができないと規定するが、直接的な罰則規定を欠くこともあって、使用者を指導すべき保険者である協会けんぽの対応が十分とはいえない状況である。

協会けんぽには、被保険者(従業員)の権利を守るために、法の規定を無視する悪質な事業主に対しては、強力な指導を行い、健康保険法197条の報告等義務違反として、場合によっては健康保健法216条の規定を適用しての過料(10万円以下)の制裁を視野に入れる強い対応を期待したい。

 

協会けんぽに使用者に対する強い指導を促す方法として、事業主証明欄への記載を使用者に拒否されている事情を記載したメモ(事業主証明欄が欠ける理由書)を添えて、事業主証明欄を空白のままで申請書一式を協会けんぽ宛て郵送する方法をお薦めしたい。

単なる電話での指導のお願いとは異なり、申請書の提出は協会けんぽに対するプレッシャーとなる。

協会けんぽの担当者が事業主へ電話による説得を行うことが期待できる。(直井)