パワハラ防止策に取り組むことを企業に義務づける法改正案が閣議決定(3月8日)された。
新聞記事によれば、法改正案では、パワハラを「優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されること」と定義し、防止策を企業に義務づけている。
具体的な防止策は、法改正後につくる指針で定める。
加害者の懲戒規定の策定、相談窓口の設置、社内調査体制の整備、当事者のプライバシーの保護などが想定される。
正直に言えば、会社外の労働組合であるユニオンにとって、パワハラ相談は対応に困る相談のひとつであった。
パワハラは、セクハラと異なり、法律上の定義規定がなく、具体的な防止措置を講ずることが企業に義務付けられていないことが大きな壁であった。
一般論としては、裁判に訴えて、行為者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求すること、使用者に対して安全配慮義務違反理由として損害賠償を請求することは可能であるが、証拠・立証という面でハードルが高かった。
労働局へ改善のための指導・助言を求めても、使用者が協力的ではない限り、具体的な成果は期待できなかった。
企業にパワハラ防止措置を講ずることを義務づける法律の制定はパワハラ撲滅への大きな一歩となることが期待される。
ユニオンにとっても、新たな法規定を手がかり足がかりとして、パワハラ問題について使用者と交渉することがより容易になる。
早期の法改正を期待したい。(直井)
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