☆交渉中の録音はNG☆

相談者から依頼され、労働組合ほっとユニオン委員長としてではなく、社会保険労務士として会社面談へ同行した。

所定労働時間前の作業に取り掛かるための準備時間や作業終了後の確認のための待ち時間の取り扱いをめぐり紛議が生じていた。

面談は、会社の見解を問い質し、賃金支払いの対象となる勤務時間としての取り扱いを求めるための面談であった。

 

面談の場ではじめて知ったことだが、相談者は面談内容を録音することをあらかじめ、会社に伝えていた。

面談の冒頭で会社側は相談者の録音を了承するとともに、会社側でも面談内容を録音することを表明した。

 

正直言って、しっまったと思った。

録音について事前に相談を受けていれば、反対した。

確かに、会社面談の内容を録音することは広くネットなどでのお薦めになっている。

しかし、有効なのは、会社側に知らせない状態での証拠収集のための録音である。

また、退職強要などが想定される場合の防衛策としての録音である。

 

しかし、交渉と録音はミスマッチである。

録音されていることを前提として交渉はできない。

交渉とは双方が譲り合って合意に達する手続きである。

録音されていることが前提となっていては、建前の主張が繰り返されるだけである。

 

私の抱いた危惧は現実となった。

何ら実際的な進展がないまま、双方がそれぞれの主張を言い合うことに終始して面談は終了した。

ほっとユニオンは団体交渉を録音することはしません。

双方の譲歩による解決を模索するのが団体交渉だと考えているからです。(直井)