労働相談を受けていて対応に困る相談として「パワハラ行為者に報復したい相談」がある。
上司や同僚からパワハラを受けている。
辞めるつもりだけれど、上司らに仕返しをしたい。
何かいい方法はないか。
職場環境の是正を求める相談の場合、厚労省により各都道府県ごとに設置されているの労働局長の助言・指導制度の利用を勧めることにしている。
しかし、被害者の報復感情を満足させるには役にたたない制度である。
そもそも、職場環境の是正を目的とする制度なので職場を辞めた後では労働局は受け付けてくれない。
状況によれば損害賠償の請求など司法的な対応は可能であるが、裁判を提起することは大きな負担である。
相談者はもっと手軽な方法を求めている。
同じ職場のハラスメントといっても、セクハラとは違って直接的な法規制がないことがハードルを高くしている。
しかし、厚労省が準備している、企業へのパワハラ防止措置義務を定める法制化が実現すれば、状況が変わるかもしれない。
新聞報道によれば、企業に課されるパワハラ防止措置義務の内容として、パワハラ加害者への懲戒規定の作成、企業内の相談窓口の設置などが検討されている。
これらの法規制のもとでは、企業に対して行為者の懲戒処分を求めるという選択肢が生まれるからである。(直井)
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