不当な解雇を言い渡されたと駆け込んでくる相談者は相変わらず多い。
解雇が不当・違法なものであることを会社に対して争うためには、まず、具体的な解雇事由を記載した解雇理由証明書(労働基準法22条2項)の交付を求めることから始める。
会社の考える解雇理由を明確にして置かないと、何が不当・違法であるのかについて裁判所など第三者に説明することが難しいからである。
周到に解雇の準備をする会社は、解雇を言い渡す前に、解雇理由にあたる個々の具体的事実を書面にして残すという方法をとる場合がある。
注意書や指導書という名称のもので、出来事の発生の都度、注意や指導を文書で労働者に交付することがある。
その際、当該文書に労働者の署名を求めることがある。
単に受領したことの確認のための署名ならば署名を拒否するのは難しい。
記載の事実がないときは、記載の事実はありませんと追記のうえ署名することを勧める。
注意書などで指摘した事実を認め、今後、同様な行為を行わないとの誓約する旨の記載に対する署名は要注意である。
記載のある事実に過ちがある場合はそのまま署名することは絶対に避けなければならない。
後日、解雇事由を自認したことに使われるおそれがあるからである。
このような場合、記載事実の誤りを指摘したうえで、今後ともそのようなことは行わないと記載を訂正のうえで、署名することを勧める。(直井)
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