日本郵便で配達などを担当する契約社員3名が、正社員と同じ仕事なのに手当や休暇の制度に格差があるのは労働契約法20条に違反するとして、同社に手当の未払い分計約1500万円の支払いなどを求めた訴訟で、9月14日、東京地裁は一部の手当や休暇について「不合理な差異に当たる」と述べ、同社に計約90万円の支払いを命じた(2017年9月15日「朝日新聞」)。
労働契約法20条は、正社員と契約(有期雇用)社員との間での不合理な待遇差別を禁じた規定です。
民主党政権下の2012年8月の労働契約法改正(2013年施行)によって新設された。
同時に有期雇用社員の無期転換ルール(5年ルール)を定めた18条も新設された。
ともに非正規労働者の労働条件の改善を目指した労働者保護のための画期的な規定といえる。
しかし、法律ができれば即、非正規労働者の労働条件が改善されるほど現実は甘くない。
法律の規定を職場に適用させるには現場の労働者の絶え間ない監視や不当な取り扱いに対する異議申し立てが不可欠です。
しかし、現実には使用者と労働者との間のは圧倒的な力の差がある。
個々の労働者が個別に声を挙げても使用者に圧殺されるのが落ちです。
本来は労働組合の出番なのだが、労働組合に加入する労働者は減少し続けており、組合は弱体化している。
ほとんどの中小企業では労働組合の組織すら存在しない。
労働者保護法の拡充も必要だが、労働者保護法に実行性を持たせるためには職場集団の再生を促す集団(労働組合)法の整備も必要だ。
法律の規定を手がかりとする職場での集団(組合)交渉が事実上期待できない現状から、法律違反を主張して裁判による労働条件の改善を目指すということになるのだろう。
なお、3名の原告は日本郵便内の少数(極小?)組合である郵政産業労働者ユニオンの組合員である。(直井)
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