解雇をめぐる団体交渉の進め方について当該組合員と意見が合わず、予定していた第1回団体交渉の直前に団交を中止したことがある。
ことの始まりは、団体交渉は話し合いであるのでまとめるためには組合側も譲歩をする必要があると私が事前の打ち合わせで話したことにある。
当該組合員は、組合は100%組合員の立場に立つべきだから、初めから譲歩の話しをするのはおかしいとかみついてきた。
議論の詳細は割愛するが、結果として当該組合員との信頼関係が持てないと判断し、団交中止を決断した。
組合は100%組合員の立場に立つべきだとの意見には私も賛成である。
でも、そのことと交渉における譲歩の余地を事前に検討することとは別である。
個別紛争解決におけるユニオンの役割として、妥当な解決水準を示し当該労働者を説得するということがある。
不当に扱われたと感じている労働者は、使用者に対する強い憤りから強い主張に終始しがちで、ひとりでは降りられない状態に自分を追い込んでいる場合ある。
これに対し、ユニオンの相談員はある程度紛争を客観的に観ることができる。
岡目八目である。
もっとも、ユニオンが組合員の利益を第一に考えているという信頼を当該組合員が持てなければ、説得はユニオンの利益からの強制とみられることになり、失敗する。
ユニオンにとって組合員との信頼関係が第一である。
(直井)
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