派遣労働者からの相談は少なくないが、最近ほっとユニオンが受けた相談に次のようなものがあった。
派遣先をパワハラで、派遣元を不当な更新拒否で訴えたい。
電話相談を経て相談者と都内のカフェで対面相談をしたが、その後相談者からの連絡が途絶えた。
1か月程後、忘れかけたころに突然再度の電話があった。
話を聴いてみると以下のとおりである。
別のユニオンに入って派遣先及び派遣元を相手に団体交渉を始めたが、当該ユニオンの対応が納得できないので、当該ユニオンを脱退するつもりである。
ついては、ほっとユニオンが改めて団体交渉をしてくれないかとの要望であった。
私はこの要望を丁重にお断りした。
交渉中の団体交渉を途中から引き継ぐことは事実上できないこと、
団体交渉を始めから仕切りなおすにしても、いわば手垢のついた案件は相手方にすでに妥結の余地が少なくなっていること、
したがって、こちらが相当の譲歩をする準備がなければ妥結に至ることが困難であること、
などがお断りした実務的な理由です。
しかし、それ以上に問題なのは、安易にユニオンを渡り歩く相談者と信頼関係を築ける自信が持てないことにあった。
ほっとユニオンと組合員との関係の基礎は信頼関係だと考えています。
泣き寝入りしないで使用者に対して一緒に異議を申し立てることによって醸成された信頼関係は、たとえ交渉が不首尾に終わったとしても、次に労働審判など裁判手続きに進む原動力になります。
ほっとユニオンは働く者の共助の組織です。
ユニオンをコストパフォーマンスの観点からのみ選択する相談者はこちらから願い下げしたい。(直井)
コメントをお書きください