解雇をめぐる団体交渉の進め方について当該組合員と意見が合わず、予定していた第1回団体交渉の直前に団交を中止したことがある。
ことの始まりは、団体交渉は話し合いであるのでまとめるためには組合側も譲歩をする必要があると私が事前の打ち合わせで話したことにある。
当該組合員は、組合は100%組合員の立場に立つべきだから、初めから譲歩の話しをするのはおかしいとかみついてきた。
議論の詳細は割愛するが、結果として当該組合員との信頼関係が持てないと判断し、団交中止を決断した。
組合は100%組合員の立場に立つべきだとの意見には私も賛成である。
でも、そのことと交渉における譲歩の余地を事前に検討することとは別である。
個別紛争解決におけるユニオンの役割として、妥当な解決水準を示し当該労働者を説得するということがある。
不当に扱われたと感じている労働者は、使用者に対する強い憤りから強い主張に終始しがちで、ひとりでは降りられない状態に自分を追い込んでいる場合ある。
これに対し、ユニオンの相談員はある程度紛争を客観的に観ることができる。
岡目八目である。
もっとも、ユニオンが組合員の利益を第一に考えているという信頼を当該組合員が持てなければ、説得はユニオンの利益からの強制とみられることになり、失敗する。
ユニオンにとって組合員との信頼関係が第一である。
(直井)
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ほっとユニオンは労働組合であるから、団体交渉での解決を第一と考えている。
団体交渉は、話し合いによる解決であることから、双方に譲歩が求められる。
しかし、団体交渉を実施したうえで使用者の態度が堅く自主的な交渉での解決が難しいと判断したときは、交渉を打ち切り労働審判の場に解決の場を移すことにしている。
労働審判手続きは司法手続きであり、原則として弁護士以外は代理人とはなれない。
したがって、弁護士に手続きを委任しない者(ないし少額ではない弁護士費用の負担を考慮して委任をためらう者)は本人申立てをすることになる。
残念ながら労働審判手続きに労働組合役員の代理人としての参加は事実上認められていない。
しかし、ほっとユニオンは申立手続きの援助は行っている。
具体的には申立書の作成の援助である。
相談者の中には、会社は強硬であるから譲歩は望めないこと、また話し合いは会社に防御の材料を与えることになるから、いきなり労働審判の申立てをしたいと希望する者もいる。
相談者自体が話し合いでの譲歩の余地を示さないほど強硬な姿勢であることもある。
そのような相談者の中には団体交渉抜きで労働審判の申立書の作成を依頼する者もある。
ほっとユニオンはそのような依頼はお断りすることにしている。
直接使用者への異議申し立てがためらわれる労働者に団体交渉という場を設定することによって、使用者との話し合いの場を提供することがユニオンの役割であると考えているからである。
ユニオンは労働者の共助の組織であって、弁護士の安手の代用物ではない。
もっとも、相談者の希望があれば、連携する弁護士の紹介はする。(直井)
最近、解雇トラブルが解決した相談者から以下の内容のお礼の手紙を受けとった。
過日は速やかに解決していただきありがとうございました。
早く気持ちの整理をつけ又働きたいと思っています。
直井様のお仕事、繁盛願っていますが、私のようなことが、起きない社会であって欲しいとも思います。
暑い日が続きますが、どうぞお身体をお大切に。
私(直井)の仕事はユニオン活動です。
相談者からの手紙には以下の内容が含まれている。
「ユニオンの繁盛する社会→労働トラブルの多発する社会→働く者にとって不幸な社会」
ユニオンはトラブル発生後に駆け込む「駆け込み寺」という考えが前提となっている。
確かに、現実のほっとユニオンの活動はそのとおりです。
しかし、私は、将来、ほっとユニオン活動が全国津々浦々に広がって、労働者の共助のための保険のような組織に育てばと夢のようなことを考えることもある。
たまたまトラブルを抱えた労働者をそのとき余裕のある労働者が助ける共助の組織としてほっとユニオンを育てたいと考えている。
そのような「ほっとユニオン」が繁盛し、働く者が生きやすい社会になることを夢みている。(直井)