通勤手当の遡及払いの請求を拒否されたとの相談があった。
いつものように都内のカフェで話しを聴くことになった。
以下のような話しであった。
1年ほど前にバス運賃が値上げしたことを届け出ないままにしていた。
以前の運賃値上げのときは、とくに届け出手続なしで通勤手当てが改訂されたこともありそのままにしていたとのことである。
いつまで待っても通勤手当ての改訂がないので、この度、給与担当者にその旨を話して届け出ることにした。
会社の定める通勤手当規程には、①通勤手当として実費を支給すること、とともに、②入社の際に通勤経路を届け出ること、③通勤経路の変更等があった場合はすみやかかに届け出ること、など手続についても規定されている。
給与担当者は、通勤手当の改訂は従業員からの届け出を前提にしていることを根拠に遡っての支給はできないと説明しているようである。
通勤手当は賃金であり、その消滅時効は2年である。
逆にいえば2年以内ならば遡って請求できる。
また、支払いの根拠は労働契約であり、本件の場合は通勤手当規程がその根拠となる。
実費を支払うとの通勤手当規程の定めからすれば、遡及払いは認められないとの給与担当者の説明は合理性がない。
以上の見解を相談者に説明したところ、給与担当者にもう一度話してみる。
一応すじを通してみるが、遡及する請求額は5千円程度なので、それでダメなら、あえてそれ以上争うつもりないとのことであった。
ちなみに、カフェでの労働相談を申し込んだ理由は、千円の相談料と自分の飲み物代の負担だけなら、労働トラブルの専門家に話しを聴いてもらい、不満を吐き出し、スッキリしたかったからのとのことである。
ほっとユニオンはそのような相談も歓迎します。(直井)