2020/12/31
社長から突然、経営不振および相談者の能力不足を理由として賃金の切り下げを言い渡された。
突然のことで反論もできないまま「分かりました。」と答えざるを得なかった。
後になって冷静に考えてみると給与減額には納得でき労働条件の不利益変更は使用者が一方的に言い渡せるわけではない。
労働契約法8条は、「労働者及び使用者は、その合意により、労働条件を変更できる」と規定する。
労働者との合意抜きの使用者の一方的な給与減額通告には法的効力はない。
合意は労働者の自由な意思に基づくものであることが前提となる。
裁判実務においては、労働条件の不利益変更に対する労働者の合意の認定に際して、使用者との交渉力の違いを考慮した上で、厳格、慎重な判断がなされる傾向がある。
本件における労働者の「わかりました。」は社長が言っていることは理解しましたという意味で断じて賃金切り下げに同意したという意味と解されるものではない。
2020/12/05
解雇を撤回され出社を会社から求められた、困惑しているとの相談を受けた。
復職したくない、どのように対応したらいいかという相談である。
原則として、解雇の意思表示が労働者に到達した後は、使用者がこれを一方的に撤回することは許されない(民法540条2項)。
ただし、従業員の同意があれば話は別です。
本件の場合、従業員が解雇の撤回を求めていたことから、同意があったと解される。
正当な理由なく出社を拒否すれば、それを理由に改めて解雇を言い渡されるリスクがある。
撤回日以降の賃金を請求することも難しくなる。
したがって、いったん復職をして様子をみる以外ないように思える。
しかし、どうしても復職をしたくないのならば、解雇日から撤回日までの未払い賃金の支払いを受けて退職するのも一つの選択肢だ。
2020/12/01
不当解雇された相談者からの数ある質問のひとつに解決金はいくら取れるかというのがある。
職場復帰ではなく金銭解決を望んでいる場合である。
事案(正社員か契約社員か、勤続期間の長短、解雇の悪質性など)により千差万別だと答えるしかない。
しかし、それでは答えにならないであろう。
実際の解決金額は相手である使用者との交渉の結果であることから幅が大きい。
しかし、ほっとユニオンの要求額には一定の方針がある。
以下において、取り扱い件数が比較的多い勤続期間が短い案件についていままで経験した具体的な事例をもとに要求額を整理をしてみることにする。