カテゴリ:団体交渉



2020/06/27
コロナ禍のなか、Zoom会議はテレワークの手段として急速に普及しつつある。 複数人が一同に集まることなく、パソコン画面を通じて会して、各人が意見を出し合い、情報を共有することができる便利な手段である。 確かに便利な手段とは思うが、団体交渉の手段として利用することには躊躇を感じる。 とりわけ初対面同士の話し合いには不向きだ。 対面での話し合いが生み出すものに信頼関係の醸成がある。 また、対面ならば一方の発言を契機に解決へのアイデアが広がる可能性もある。 オンラインでの話し合いは、双方が基本的な立場を主張し合う形式的な議論に陥りがちである。 団体交渉は参加各人が意見を述べそれを集約するためのものではなく、立場の異なる者の間の譲歩を前提とした話し合いである。 団体交渉は、双方が譲歩を重ねつつ合意を達成することを目標とするものである。 歩み寄りのための双方の譲歩を引き出すには、対面での接触により信頼関係を醸造することが重要である。 Zoom会議には不向きだと考える。
2019/11/29
そもそも、有給休暇は「勤務を要する日」に有給で休めることを保障する休暇制度である。 有給休暇の趣旨は、労働者の心身のリフレッシュを図ることにある。 シフト制の場合、シフト決定後に「勤務を要する日」と指定された日に有給休暇の請求をすることは当然許される。 この会社の場合は、シフト調整時に所定労働日の一部を有給休暇として申請することも認めていなかったようである。 有給休暇をとることを前提に必要な人員を確保することは使用者の責任です。 労基法の有給休暇に関する定めは強行法規であるので、有給請求権を事前に放棄する契約は無効です。 また、労働者の請求(時季指定)による有給休暇の取得が進まないことから、労働基準法が改正されて、2019年4月からは、年10日以上有休が付与される労働者に対しては企業は5日間の有休を指定して休ませることが義務づけられた(39条7項)。 有給休暇の取得は労働者の権利であるだけでなく、使用者の義務でもあるのです。
2019/11/03
団体交渉の場において弁護士や社労士が依頼主である使用者の立場に添った主張を展開するのは当然である。 しかし、労働トラブルを話し合いで解決するためには、それぞれの主張の違いを認識したうえで、そこから一歩進めて、事案にそった妥当な解決策を模索する姿勢が不可欠である。 場合によると、依頼者を説得しなければならない場面もでてくる。 話し合いでの解決のためにはそのような調整能力が求められる。 このことは組合側にとってもいえることだ。
2019/10/27
解雇撤回を求める使用者との団体交渉で次のようなやり取りがあった。 使用者は解雇トラブルについて相談のため管轄の労働基準監督署を訪れていた。 使用者は相談担当者のソフトな対応から、解雇の正当性についても基準監督署のお墨付きを得たと感じたようだ。 団交の場において使用者は、解雇には正当な理由があるから、交渉で解決のために譲歩するつもりは一切ないと、強い主張に終始した。 他方、労働者も解雇を言い渡された直後に基準監督署に駆け込み、相談をしていた。
2019/04/20
ほっとユニオンは組合員の代理人であり、当該組合員と一体となって使用者との交渉に臨むが、和解交渉をまとめるためには、ときには当該組合員を説得する役割を求められることもある。 相談者には、相談者抜きの事務折衝自体は受け入れた上で、ユニオンに事務折衝の結果を聴いて、もしその内容に納得できないならばその旨を率直にユニオンに申し入れるようにアドバイスした。
2019/03/30
3月15日、コンビニ店主が求めるフランチャイズ(FC)本部と団体交渉する権利は認められないとの判断を示した中央労働委員会の命令が出された。 コンビニ店主が労働組合法上の労働者に当たらないとの判断が示された。 これを不服とする店主側は中労委命令の取消訴訟を提起するとのことなので、法的な意味での決着は裁判所に持ち越されることになる。 純法的観点からは、本件はコンビニ店主が労組法上の労働者に当たるか否かについての労働組合法の解釈を巡る争いである。 しかし、社会的に集団的な枠組みが求められる関係は厳として存在する。 今、集団的な枠組みの再認識が求められている。